バカだからこそ、かわいい。
この暑い日に、菅原文太の「トラック野郎 望郷一番星」を観る。くだらない。ばからしい。でも、エネルギーに充ち満ちている。バカだからこそ、かわいく思う。そんな逆説的な魅力を感じる映画である。
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<解説・あらすじ=goo映画などより>シリーズ第3作目。脚本は澤井信一郎ほか、監督は「お祭り野郎 魚河岸の兄弟分」の鈴木則文。
桃次郎(文太)とジョナサンこと金造(愛川欽也)は、北海道行きのカーフェリーの出発時間を待つ間、川崎の金造の自宅に立ち寄った。金造の妻・君江(春川ますみ)と9人の子供たちは、現在の6畳一間の家では狭すぎるので金造にもっと頑張って家を建ててほしいと要求した。おかげで金造は、カーフェリーに乗ってもラウンジでアルバイトするはめになった。
一方、桃次郎は美貌の女性・三上亜希子(島田陽子)に一目惚れ。釧路に着いた桃次郎は、亜希子の顔が頭にこびりついてしまい他の女には目もくれないばかりか、港の魚市場で女トラック運転手の涼子(土田早苗)を罵った。ところが涼子に惚れているカムチャッカの熊こと大野田太郎左衛門(梅宮辰夫)がこの事を聞いて怒り、熊と桃次郎はたちまち大喧嘩になった。しかし喧嘩の腕は互格のため、トラックで勝負することになった。だが、地の利に明るい熊に軍配が上り、桃次郎は北海道を直ちに去る約束をした。その帰り道、桃次郎は亜希子と再会した。亜希子は静内の牧場の娘で、両親を亡くし女の身一つで牧場を経営していた。亜希子にすっかり心を奪われた桃次郎は、熊との約束を忘れて、トラックはそっちのけで乗馬入門書にかじりつく。
そんなある日、亜希子が一番可愛がっていた仔馬が病気になり、獣医も見離してしまった。そこで看病をかって出た桃次郎は、仔馬とともに一夜を明かし、その甲斐があって奇跡的に元気を取り戻した。亜希子は桃次郎のひたむきな献身振りに心を打たれるのだった。桃次郎は亜希子の感謝の言葉を背に釧路に戻った。というのも、桃次郎が北海道に居すわったのは涼子との仲が原因、と熊が勘違いしていたからだ。だが、涼子が自ら熊に愛を告白したため大事には至らなかった。桃次郎は金造夫婦のすすめもあり亜希子にプロポーズしようとしたのだが、彼女には既に結婚を約束した相手がいることを知り、ガックリしてしまう。そんな時、金造のアルバイト先の運送ブローカー・鮫田が金を持ち逃げしたため、荷が滞貨し、金造が困り果てていた。見るに見かねた桃次郎は、金造を勇気づけると、自らハンドルを握って、驀走する。
<能書き=文責・双子山>まあ、寅さんの亜流ですね。でも、底抜けの脳天気エネルギーは侮れません。監督の鈴木則文が今年出した「トラック野郎風雲録」を読むと、当時の本物のトラック野郎たちの、この映画に寄せる熱い思いと、自分たちの職業が認められ、映画になったことの喜び・自負がひしひしと伝わってきて、一種感動的である。
1976年作品。すでに「仁義」シリーズやや「県警対組織暴力」で堂々たる一枚看板になっていた文太が、下品きわまりない演技を楽しみながらやっている。ああ、この人は本当に映画が好きなんだなあ、とファンなら胸が熱くなるはずだ。「ゲージツ」などではない、純然たるエンターティンメントとしての映画である。
このシリーズ、時には「寅さん」の興行収入を上回ったというのだから、凄いもんです。そういえば「トラック野郎」って、もはや普通名詞だもんね。
静内の牧場主役の島田陽子、まったくもって魅力がないところが逆に感心する。
いずれにせよ、みどころ、突っ込みどころ満載の映画です。楽しめます。皮肉ではなく、本心から思いますよ。
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