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書評としての現在2014②

年劣化が著しい

 庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」を読む。1969年の芥川賞受賞作だ。始めて読んだのは高校生のころだったか。中身を全く、覚えていないことにも驚いたが、経年劣化が著しいことにも、驚いたね。庄司薫の文体に、「村上春樹」を見る向きもあるが、結果論のような気がする。村上の方向性とは全く逆の文学的方向ではないか。

<口上>男の子いかに生くべきか――。風邪をひいて、万年筆を落として、東大入試は流れるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ十二年も飼ってきた犬に死なれ、左足の親指の爪まではがしてしまった。幼馴染の由美とはささいなことから仲違い。踏んだりけったりのスタートを切った、薫の一日は……。戦後日本の価値観の揺らぎに肉薄した、現代青春小説の最高傑作。

<双子山の目>確かに、1969年という日本社会の激動期に書かれたという意味はあるのかもしれない。現在に至る社会の萌芽に庄司薫が気づき、文字化したとしたら、それはそれで先見性を認めるべきなのだろうが、それは買いかぶりすぎだろうね。筋という筋がなく、抽象的思考を饒舌に語っていく展開は、正直、飽きる。なぜ、この小説がベストセラーになったのか。それは「時代」というしかないな。

 この小説は翌年に映画化されている。岡田裕介(今では東映の社長か)が主演した。私が小学生だったころ、よく行った銭湯に映画のポスターが貼ってあった。友人のチャーリーは「赤頭巾」を「座頭市」と読み違え、「座頭市ちゃん気をつけて」と言っていた。「頭」しか合ってないぜ、チャーリー!

双子山評定:☆☆

赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)

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