書評としての現在2014④
面白くてページを捲る手が止まらない
春日太一の「あかんやつら」は、東映京都撮影所の黄金期を活写した傑作だ。東映ファンならずとも、必読の一冊であると思う。
<口上>東映京都撮影所には、正面脇のベンチから来訪者に目を光らせる「門番」のような老人がいた。撮影所内の話に行く前にその入口の話から始めてみたい―。これは、昔々、「熱い」時代の物語である。型破りな錦之助、鬼と呼ばれた岡田茂、警察とヤクザ。読み始めたら止まらない血と汗と涙の記録。
<双子山の目>とにかく、「映画愛」に溢れた力作だ。凄い時代があったもんだと感心する一方、もう二度と、映画にとってこんなに幸福な時代はないであろう寂しさも感じる。
人間の器のでかさに、唖然とする。それもまた、時代だったのだろうが。
このころは、「どうにかなった」のだ。今では、「どうにもならない」のだ。それもまた、時代だ。
双子山評定:☆☆☆☆☆
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