まだまだ読むぞ2013※108
死んだあとに。
高江洲敦「事件現場清掃人が行く」は強烈である。人が孤独死した部屋などを清掃する職業に就いた著者のルポなのである。死臭あふれる部屋をいかに復活させるのか。
<口上>餓死した大学生、高級マンションで2年放置された死体、風呂で煮込まれたお婆さん……。自殺、孤独死、事故、殺人―死んだ人の後始末を1500件以上請け負ってきた著者。血と体液と虫にまみれた部屋で、死者の無念さに涙し、呆然とする遺族を慰める。誰も近づきたがらない特殊な死の現場から、生の悲哀を見つめた衝撃のノンフィクション。
<双子山の目>人の究極としての死に、これだけ直面させられる仕事もなかろう。死のさまざまな表情に驚かされるばかりだ。まさしく、死臭漂う一冊である。しかし、死者は無念さだけを抱いているのか。こんな世の中とおさらばできて、すっきりしたというような思いはなかったのか?・・・ないか。でもなあ、死んだら、終わりだからな。死者は何もできない。死者は死んだあとのことを考える必要はない。しかし、死者は死ぬまで死者ではない。それはともかく、著者本人の半生記としても読めて面白い。
双子山評定:☆☆☆☆

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