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まだまだ読むぞ2013㉝

悲惨なサラリーマンの物語

 福澤徹三「Iターン」はリストラ寸前の支社に左遷された中間管理職がヤクザに因縁を付けられ、どんどんと追い込められていく物語。と、書くと、陰惨な感じを抱くかもしれないが、とんとんとしたストーリー運びとユーモア漂う仕掛けにより、読後感の良い小説になっているから不思議だ。

<口上>広告代理店の冴えない営業マン・狛江が単身赴任したのは、リストラ対象の北九州支店。思わぬトラブルでヤクザに絡まれ、大借金のうえ身売りの大ピンチに。鉄拳の雨と禁断のレバ刺し、爆弾を抱えたダイ・ハードな日常。生き地獄に陥った男のI(=自分)ターンとは!?血圧急上昇、リーマン・ノワールの傑作。

<双子山の目>物事、悪い方に転がり出すととことんまで行ってしまう。しかし、どこかで踏ん張り、「自分」を捨てると見えてくるものもある。そんな教訓も読み取れる物語だ。ヤクザの使う九州弁が効いている。

双子山評定:☆☆☆

Iターン (文春文庫)

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