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三国一の読書野郎2012※153

ヒトラーは都市を憎悪する

 中島義道「ヒトラーのウィーン」、なかなか面白かった。画学生としての自らをウィーンに否定されたヒトラー。ナチスを設立し、政権掌握後はついにオーストリアを併合し、自らを認めなかった都市に復讐する。ヒトラーの歪んだ憎悪が身に染みる。

<口上>各界の天才たちが一堂に会していた頃のウィーンで、天才とはほど遠い落ちこぼれだったヒトラーは、「ユダヤ人絶滅」を「善」とする自らの主観の骨格を固めていった。彼の過剰な健康志向や、潔癖症的傾向も、その根は、浮浪者収容所に潜伏するほどの“負け犬”だったウィーン時代にある。だが現在、ウィーンからヒトラーの行跡はきれいに消されてしまっている。それをあぶり出すべく、ウィーンと関わりの深い哲学者が、後に不世出の「怪物」と化すことにになる男の青春の日々を、様々な視角から追う。

<双子山の目>最近の中島ギドー、生き方が下手だとか、人間嫌いだとかいった愚痴を延々と綴る類似本ばかりで、少々、閉口気味だった。ギドー自身にとって、ウィーンは留学し、結婚し、家庭を築き、やがて崩壊に至った思い出深い土地であるはず。そこに引きつけ、ヒトラーの暗い憎悪とパラレルな自己表出をしているかのようにも見える。

双子山評定:☆☆☆★

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