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三国一の読書野郎2012※105

恐るべき人間の心理

 R・D・ヤーンの「暴行」は実際の事件をモデルにしたミステリである。看護婦が深夜に帰宅したところ、アパートメントの中庭で暴漢に襲われ、多くの住民がその模様を見ているのに、通報しないのである。その冷酷さにあぜんとさせられながら、同時進行的に物語は進む。それぞれの人生を切り取りながら。

<口上>夜勤から戻ったキャットは、自宅のあるアパートメントの中庭で暴漢に襲われる。幾多の住人が犯行の模様を目撃しながら、誰も通報しない。彼らもそれぞれ、己の人生の岐路に立たされていたのだ――。“傍観者効果“という用語を定着させた現実の事件をベースに、人間の内なる闇と19600年代ニューヨークの病巣を鮮やかに抉り出す迫真の同時進行サスペンス。CWA賞最優秀新人賞受賞作。

<双子山の目>

双子山評定:☆☆☆★

暴行 (新潮文庫)

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