三国一の読書野郎2012※70
評価は難しい
巷間、やたらと評判がいい「緑のさる」を読む。わけのわからない世界を構築している子とは確かだが、これが文学なのか?
<口上>『群像』『文學界』で鮮烈なデビューを果たした著者による初の単行本。彼女と友達に裏切られたフリーターの「わたし」は、海に行き不思議な出来事に遭遇する。小説の可能性を追求した意欲作。
<双子山の目>円城塔の芥川賞受賞以来、「前衛」を評価する声が高いのだが、私は、本当にそこに「前衛性」があるのかどうか、疑問に思っているのだ。ただ、わけのわからない世界を構築していけば前衛なのかよ、と思うのだ。
その前衛性は何によって担保されているのか。言葉である。言葉を削りだした結果としてしか、小説は現れない。
しかし、この作品とか、円城塔作品には削りだした際に作家が流したはずの汗が見えないのだ。その「スマートさ」をもって前衛というのか。ならば、車谷長吉の「赤目四十八滝心中未遂」の方がよっぽど、前衛じゃないかと毒づきたくなるのだ。
評価の難しい小説である。少なくとも、手放しで賞賛することはできない。
双子山評定:☆☆★。ただし、力はある。わけのわからない、力が
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