三国一の読書野郎2012※60
独特の飴村ワールド
先に「粘膜戦士」でガツンとやられた私。この飴村行なる作家をたどろうと、デビュー作の「粘膜人間」を読んでみた。いやはや、何とも、凄い小説だね。この作家、異常です。
<口上>「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。
<双子山の目>カッパが出るし、スプラッタで肉体は裂けるし、とにもかくにもズブズブの粘膜性が魅力と言えば魅力だ。荒削りな原初的なエネルギーに満ちあふれ、小細工のない、直球の作風が逆にすがすがしくもある。結局、最新作の「粘膜戦士」がデビュー作のこの作品にリンクしていくおもしろみは、読破した読者のみが味わうべき快楽であろう。
グロテスク&ユーモア&土着性&民話世界・・・。さまざまなものの、邪悪なごった煮である。悪夢の世界である。しかし、そこがはまる所為でもあるのだ。
双子山評定:☆☆☆☆。読んでいてあきれるほどのパワー。しばらく、忘れていたものだ。お勧め!
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