三国一の読書野郎2012※61
爬虫人っていったい・・・
飴村行の粘膜シリーズ第2弾「粘膜蜥蜴」を一気読み。もう、抜けられない、粘膜世界から(←倒置法)。
<口上>国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた…。
<双子山の目>粘膜シリーズの世界は、戦前の日本である。しかし、欧米列強と互角の戦いをしている架空世界である。国内は軍人が幅を利かす息苦しい雰囲気に満ちあふれ、学校は軍国少年らで満ちている。
さらに粘膜シリーズの発明は、東南アジアの奥地で発見されたという頭がトカゲそっくりの「爬虫人」である。「ヘルビノ」とも呼ばれているが、知能もなにも、普通の人間と変わりがないが、とんでもない能力を持っていることが作中、明らかにされる。
この爬虫人を子どものころから飼い慣らし、運転手や使用人などとして雇うことが、この世界の日本の上流階級では流行っているという設定がある。よく考えるもんだ。
しかし、法螺話は優れているものであるほど、かっちりとした構造があるのだ。細部にリアリティーがあるのだ。神は細部に宿りたもうのだ。
双子山評定:☆☆☆★。瞬発力は「粘膜人間」には劣るが、なかなかのもんです
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