三国一の読書野郎2012※39
なぜ殺し合うのか?
ノンフィクション作家・溝口敦の「抗争」を読む。暴力団取材40年という著者の、得意ジャンルである。しかし、凄惨な社会だよなあ。本当に「仁義なき戦い」だよ。
<口上>2011年8月の島田紳助の芸能界引退や、同年10月の「暴力団排除条例」の施行をきっかけに、暴力団への関心はかつてないほど高まっています。今年に入っても、指定暴力団のうち、特に凶悪とされる組織を「特定抗争指定暴力団」、「特定危険指定暴力団」に指定するなどの暴対法改正案が通常国会に提出されるなど、依然、国民の関心を引くニュースが続いています。本書は、ベストセラーにもなった「暴力団」の著者・溝口敦氏が、広島代理戦争や、大阪戦争、山一抗争など、ヤクザの歴史を語る上で欠かせない数々の抗争を、その背景となった事件から、当事者・関係者へのインタビューまで詳細かつ多角的に綴ったものです。40年超に渡り暴力団を取材し続けてきた著者でなければ書くことのできなかった内容です。
<双子山の目>そこにあるのは利害関係であり、自己顕示であり、弱いところをみせたら終わりという独自の価値観である。まさしく、人間の野蛮の表明なのである。
物理的に「取る」。暴力という、人間の根源的欲望の発現。一度、その社会にはまってしまったら、終わりである。なるべく、この社会からは遠くに身を置いておくにこしたことはない。映画を楽しむだけにしておいた方がよい。著者の言うとおり「抗争は暗然な場所に身を置いた男たちの慰謝になる」のは確かだ。
双子山評定:☆☆☆。痛いのは嫌だ
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