三国一の読書野郎2012②
才能がなくても書ける私小説?
小谷野敦の文章は、だらだら、しているのだが、何となく引き込まれて読んでしまうのだ。「私小説のすすめ」は、2009年の刊行で、当時すでに読んでいるのだが、またわが書棚の隅に発見し、読み始めたら、止まらなくなって、通読してしまった。
要するに、私小説とは日本特有の「ダメな小説」であるという俗論を徹底批判しているのである。むしろ、私小説こそ、小説の本道であると、宣言する。田山花袋「蒲団」を徹底擁護し、「蒲団」批判を繰り返した文芸評論家の中村光夫を弾劾する。極めてポレミークな一冊である。
首肯できる部分、できない部分あるけれど、読み物としては面白い。私自身、最近は車谷とか西村賢太といった「私小説」に惹かれる部分があるからだ。「書いてみようか」という気持ちさえ、ある。誰でも一生に一回、書ける小説。それが私小説であると小谷野敦は結論づけている。
<口上>才能がなくても書ける。それが私小説。その魅力を説き、「書きたい人」に勧める、挑発的文学論。
双子山評定:☆☆☆★。早速、岩波文庫版の「蒲団」を買ってきた。読み直すぜ。
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