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三国一の読書野郎2012⑤

意欲は買うが、長い

 続いての直木賞候補作は真山仁「コラプティオ」である。著者はNHKでドラマにもなった「ハゲタカ」など、企業・経済小説を得意とする。タイトルはラテン語で「腐敗・汚職」の意味である。

<口上>「私には希望がある」―国民の圧倒的支持を受ける総理・宮藤隼人。「政治とは、約束」―宮藤を支える若き内閣調査官・白石望。「言葉とは、力」―巨大権力に食らいつく新聞記者・神林裕太。震災後の原子力政策をめぐって火花を散らす男たちが辿り着いた選択とは?『マグマ』で地熱発電に、『ベイジン』で原発メルトダウンに迫った真山仁が、この国の政治を問い直す。

 3・11の3年後に登場したカリスマ性ある総理大臣をめぐり、内閣調査官と新聞記者が「総理は本物なのか。正義を遂行できる人物なのか」、白熱のドラマを繰り広げる。権力の魔力にとりつかれた、亡者どもうごめく世界を迫力ある筆致で描き出し、飽きさせない。力作であると思う。

 しかし、この小説、2010年から「別冊文藝春秋」に連載、最終回締め切りが2011年3月14日だったという。だから、3・11を踏まえ、徹底的に加筆・修正したというのだが、それじゃ元の小説はどんなものだったんだろうか。加筆・修正して7月には刊行しているのだが、凄いスピードだね。その熱意は買う。

 だが、冗長な面も否めない。529ページは少々、しんどかったが、このテーマにはこれだけのボリュームが必要なのかも知らん。

 そして、ラストもなあ・・・。なんだか、残念なんだよなあ。せっかく、ここまで書いてきて、結果がこれかよ、という思いは消えない。

双子山評定:☆☆☆★。登場人物造形はなかなか魅力的。

コラプティオ

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