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三国一の読書野郎2012番外編

第146回芥川賞展望

 直木賞に続き、芥川賞候補作5点を読んだ。候補作は以下の通りである。

 円城塔「道化師の蝶」(群像7月号)、石田千「きなりの雲」(群像10月号)、田中慎弥「共食い」(すばる10月号)、広小路尚祈「まちなか」(文学界8月号)、吉井磨弥「七月のばか」

 「道化師」はクラシカルな前衛作品とでも言おうか、作家独自の世界を構築している。こういうのを「ナボコフ的」とでもいうのだろう。後半部分はもはや詩である。しかし、私はこういう世界は好きではない。しかし、選考委員からは支持されるだろう。5点満点で3・0点

 「きなりの雲」には悪人が出てこない。悪意のない世界でたゆたうように時が流れる。食い足りなさ、物足りなさはあるが、読ませる力はある。しかし一方で、作家はかなり細やかな神経の持ち主のようで、そこに痛々しさも感じるが、「3・11以降」に求められる絆的なものを最も感じさせる作品だ。3・5点

 「共食い」は土着的な、中上健次的な物語世界をかなり意識して構築しているように思える。その古めかしい意匠は、この作家が本気で「文学」と対峙している生真面目さを現していることは間違いない。その覚悟は認めるが。3・5点

 「まちなか」は」よくわからない小説だ。いーかげんな人間が登場するいーかげんな世界を描いた小説とも見えるが、不思議な浮遊感も漂う。いーかげんな一方で、変なこだわりが広がる。面白いが、受賞はないだろう。2・5点

 「七月のばか」もわからない。主人公の仕事は、祖母が経営する風俗店で働く女の面接なのである。無為な生活、だらだらした人生を、だらだら描く。この小説の意図するところが、まったくわからない。2・5点。

 ※と、いうことで、私は本命「道化師」、抑えに「きなり」、対抗に「共食い」と見た。さて、結果はもうすぐ!

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コメント

親方の予想通りですな、さすが。

すごいな、オレ。直木賞も的中させたし。自画自賛だけど。

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