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三国一の読書野郎2012⑨

いつでも同じ馳星周

 馳星周の「沈黙の森」を読む。軽井沢を舞台に、元ヤクザの別荘管理人と新宿ヤクザ、地元ヤクザ、さらには長野県警の刑事が絡み合うノワール。しかし、最後はいつもの馳星周。追われ、破滅して行くワン・パターン。

<口上>暴力団・東明会の金を持ち逃げした男が、軽井沢に潜伏している。金額は五億。東明会はもとより、大金の匂いを嗅ぎつけた危険な連中が軽井沢に現れ、血眼になって男の行方を捜し始めた。かつて新宿で「五人殺しの健」と呼ばれ名をはせたが、今はヤクザ稼業から足を洗って、軽井沢で別送管理人として静かに暮らす、田口健二。そんな彼のもとにも、協力を要請する輩が現れて……。やがて軽井沢は、血で血を洗う、欲望と抗争と復讐の町と化す……。

沈黙の森

 ここまで、同じものを書くのは、ひとつの芸だよ、馳星周。人もぼろぼろ、殺されていくし。馳星周の持つ、この独特の破滅願望のようなコアにあるものが、決して嫌いではないのだが、広く理解されることはないのだろうな。

 「過去」を抱える主人公は、寡黙ながらもストイックで、かっこいい。たとえて言えば高倉健のようだ。しかし、そんな主人公さえ、馳星周は壊さなくては気が済まないのだ。ぼろぼろに、するのである。

 しかしまあ、600ページ近くをあっという間に読ませるのだから、馳星周の文章は読みやすいのだろうな。ストーリーテリングも優れているのだろう。しかし、広くは受けないな。「不夜城」の栄光、今いずこかな。頑張ってほしい作家ではあるのだが。

双子山評定:☆☆☆★。面白いんだよ。読ませるんだよ。でも、どれも同じなんだよ。

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コメント

不夜城、鎮魂歌、までは読んだが後は、残虐すぎ嫌になったから読んでいない。ワンパターンというのは一種の型で、安定感があると言えなくもない。

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