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三国一の読書野郎※287

その才能、恐るべし

 絲山秋子という作家を私は高く評価している。彼女の描き出す作品世界の屹立性は、群を抜いている。そんな彼女の最新長編「不愉快な本の続編」を読み終える。傑作である。軽いタッチながら、結論としては重苦しい本である。それが、私の言うところの屹立性である。感動した。こうい作品世界を未だ構築し続けていくという作家の姿勢に。それは自ら以外の全世界への抵抗宣言なのである。現在、作家がなすべきことは、それしか、ない。ない、はずだ。それを自覚的/無自覚的になしているこの作家の才能を畏怖するのである。

<口上>女と暮らす東京を逃げ出した乾。新潟で人を好きになり、富山のジャコメッティと邂逅し、そして故郷・呉から見上げる、永遠の太陽―。不愉快な本を握りしめ彷徨する「異邦人」を描き、文学の極点へ挑む最新小説。

不愉快な本の続編

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