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三国一の読書野郎※268

やはり今野敏はいい

 「任侠病院」が面白かったので、このシリーズの第1弾になる「とせい」を読む。良い感じですよ、今野敏。エンターティンメントに徹しているからだね。

とせい (中公文庫)

<口上>日村誠司が代貨を務める阿岐本組は今時珍しく任侠道をわきまえたヤクザ。その阿岐本組長が、兄弟分の組から倒産寸前の出版社経営を引き受けることになった。舞い上がる組長に半ば呆れながら問題の梅之木書房に出向く日村。そこにはひと癖もふた癖もある編集者たちが。マル暴の刑事も絡んで、トラブルに次ぐトラブル。頭を抱える日村と梅之木書房の運命は?

<双子山評定>今野敏の立ち位置ははっきりしている。エンターテインメントである、ということだ。

だから、いろいろなシリーズに挑戦しながらも、ぶれがないのだ。出来不出来はあっても。一方で「隠蔽捜査」シリーズなど、年間ベストテンでも高い評価を得るようになった。立ち位置にぶれがなく、しかも進歩もしているのだ。

このシリーズは任侠やくざが、出版社や学校や病院の建て直しに乗り出すという、「あり得ない」話。でも、読ませてしまうのだよ。人物造形がうまいから。ストーリーテリングがうまいから。

通俗的ではある。でも、面白い。それでいいんだ、エンターティントは。

→☆☆☆★

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