三国一の読書野郎※217
吉田修一は希望を語る
「うまいなあ」と思わせるよね。吉田修一。「悪人」は映画でブレイクしたけど、もっと評価されてもいいと思う。最新刊「平成猿蟹合戦図」、面白く読ませていただきましたよ。この人は、希望を語る、いつだって。重松清的な希望じゃないんだ、それが。
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平成猿蟹合戦図 著者:吉田修一 <口上>歌舞伎町で働くバーテンダーが、ニッポンの未来を変えていく!? 新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、秋田県大館に一人住む老婆……一人ひとりの力は弱くても心優しき8人の主人公たちが、少しの勇気と信じる力で、この国の将来を決める“戦い”に挑んでゆく! 思いもよらぬ結末と共に爽快な読後感がやってくる、著者の新たな代表作。 <双子山評定>凄いですね。吉田修一の筆力の高さに驚かされす。あ~こういう風になっていくんだという、意外感が、また。 人間は誰も、美しくない、というか、汚い。でも、そこで、「汚い」と言ってしまうか、「そんなものか」と沈黙するか。観たこともない、と趣旨をずらすか。そんな行為しかできないはず。 でもこれから、そんなことでは生きていけないと、この小説は語っているよ、静かにね。 希望の出しかたって難しい。でも私は文学の意味を信じるよ、ベイビイ。 ⇒☆☆☆☆ |
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