三国一の読書野郎※220
「アメリカ版」の方が面白い
アメリカの作家ポール・オースターがかつて、全米のラジオ聴取者に呼び掛けた。「あなたが体験した不思議な事実を寄せてください」。さまざまな実話が寄せられ、それらは「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」として本にまとめられた。その日本版を試みたのが「嘘みたいな本当の話」である。選択したのは内田樹と高橋源一郎である。
嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト 販売元:イースト・プレス <口上>泣いた、笑った、驚いた!日本中から届いた149の実話たち。ほしよりこの楽しいイラストに、柴田元幸×内田樹による〈特別対談〉も収録!ひとはいつだって、それぞれの現実を生きている。◎スリに遭い、大事な写真がなくなった!でもある日、郵便受けを開けたら……(「写真」)◎死のうと思った。二歳の息子と車に乗ってエンジンをかけたそのとき……(「死のトンネル」)「あるある」から「まさか!」まで、どこかの誰かの身に起きた、本当にあった物語 <双子山評定>結論から言うと、対して面白くなかったです。日本人の語りって、下手なわけじゃないんだけど、結局、どこか定型化していて、「落ち」が読めてしまうのですね。意外感がないんです、どの話も。デ・ジャ・ヴ感が溢れてしまうのですね。 その点、オリジナルの「ナショナル」は面白いのです。結末がまったく、予想できない「実話」ぞろいですからね。 ものの語り方にも、民族性が出てしまうという典型です。どちらが良いという話ではありませんが。 この「日本版」でいちばん笑ったのは、銀行の窓口業務をしていたら老人がキャッシュカードを作りに来た時の話。 ⇒☆☆☆ |
« 三国一の読書野郎※219 | トップページ | 三国一のプログレ野郎① »
「読書2011」カテゴリの記事
- 三国一の読書野郎※289(2011.12.31)
- 三国一の読書野郎※288(2011.12.31)
- 三国一の読書野郎※287(2011.12.30)
- 三国一の読書野郎※286(2011.12.29)
- 三国一の読書野郎※285(2011.12.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント