三国一の読書野郎※209
連合艦隊の最後
わが母校、都立墨田川高校の大先輩・半藤一利先生の著作が好きである。最近では、歴史ものが多いのだが、戦史ものも多い。「レイテ沖海戦」はその戦史ものの中でも、緻密な筆致で海戦の全貌を描き出す試みである。この海戦の敗北により、連合艦隊は組織的な戦力を失う。もはや戦況は極まるのである。
<口上>1944年10月に戦われた「レイテ沖海戦」は、史上最大の海戦であった。字義どおり空前にして絶後、おそらく、世界最後の艦隊決戦になるであろう。戦場は、北は沖縄から、南はフィリピン南端を洗うセレベス海におよび、東はサマール島沖合いから、西はパラワン水道にいたる。 この広大な戦場で、日・米両軍が総力を結集した死闘が繰り返された。 本書は、その顛末を詩情あふれる筆致で克明に描き上げた、読みごたえある海戦絵巻である。 特色は、栗田艦隊、小沢艦隊、西村艦隊、志摩艦隊、さらに神風特攻隊という、戦いを構成するファクターを、一つの流れの中に連関させ、「レイテ沖海戦」という複雑な歴史的事実の全貌をつかみやすくすることに成功していることである。かつ、ノンフィクションのなかに、当事者のインタビューにもとずく情感をも伝え得た、壮大な海洋文学である。
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