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三国一の読書野郎※208

さすが吉村昭。うまいもんだ、何を書いても

 吉村昭の戦史・歴史ものはほとんど読んでしまっているので、現代ものを読んでみようと思って、積読になっていた「鯨の絵巻」のページを繰る。たちまち、引き込まれる。さすがである。読みやすく、しかし、俗ではない。文章の力が立ちあがる。

<口上>紀州太地に300年の歴史を持つ鯨組で、網とり漁法の最後の筆頭刃刺を務めた男の生涯を描きながら、海の男たちの勇壮華麗な鯨との闘いと、滅びゆく古式捕鯨にしか生きる場を持たない者の悲哀を鮮やかに浮かび上がらせた「鯨の絵巻」。教職を剥奪され、奄美大島の夜の山地に青白い鱗の輝きを追うハブ捕獲人を描く「光る鱗」など、動物を相手に生活を営む人間たちの哀歓をさぐる短編集。

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