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三国一の読書野郎※160

くねくね型高校野球小説

 「ひゃくはち」を読む。高校野球をテーマにした青春小説。だが、ストレートだけの剛腕ではなく、変化球も織り交ぜた軟投型の青春小説といえる。

ひゃくはち (集英社文庫) Book ひゃくはち (集英社文庫)

著者:早見 和真
販売元:集英社
発売日:2011/06/28
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<口上>新聞記者・青野雅人は、転勤先に一緒に行こうと恋人の佐知子を誘うが、2人は付き合い始める前から知り合っていたという事実を打ち明けられる。いったい何の話だ!? 混乱する雅人は、必死に記憶を辿る。思い出したくもない過去に行き当たる。野球に打ち込んでいた高校生の頃だ。「あの頃の友達はどうしてる?」と訊ねる佐知子。雅人の脳裏に否応なく封印したはずの過去が蘇る。神奈川の超名門高校の補欠部員として、必死にもがいていた3年間。甲子園に行きたい。そう誰よりも強く願い、一方でタバコ、飲み会、ナンパ、酒…。ごく普通の高校生としての楽しさも求めていた。8年前ぼくらに何があったのか? ぼくは佐知子とどこで出会っていたのか? ここに描かれるのは、人口に膾炙される「爽やか甲子園球児」ではない。108あるという「煩悩」を全開にして夢にすがり、破れ、一番大事なものに気づいていく補欠球児の姿を活写した物語である。

<双子山評定>私自身は、運動部経験などないし、汗臭い部活動なんか大嫌いだ。でも、「男の友情」というのは、小説の永遠のテーマでもあるのだ。

この小説のキモは、野球部絶対主義、高校野球万歳というドグマに捕らわれることなく、野球名門校の栄光と悲惨を描いていることだ。飲酒に喫煙にコンパにナンパ。今ごろの高校生球児は、みんなこんなことやっているのだろうな、と思わせるリアリティーがある。別にやっていいようと、いまいと、どちらでも構わないのだが。

また、ありふれたハッピーエンド、例えば、サヨナラ逆転ホームランの白球がスタンドに消えていくなどの陳腐さが一切ないことも好感が持てる。

しかし、「雅人と佐和子は、付き合う前から知っていた」という鍵になるべきエピソードが、それほど魅力的なものでもないことが、物語の勢いをそいでいるような気もしないでもない。

映画化されて、そこそこの評判だったのもわかる。佳作ではある。

→☆☆☆

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