三国一の読書野郎※161
これではダメだ
ここからはしばらく、14日に選考会があった第145回芥川賞の候補作について論じる(本谷有希子「ぬるい毒」は既述)。
まずは現役北大生として話題となった水原涼「甘露」(「文學界」6月号)。
作家を志すまだ21歳の青年に冷たい言葉はかけたくないが、これは、ダメだ。
もったいぶった文体、中上健次を意識した「土着性」などなど、道具立てばかり凝っているが、中味は空虚である。「文学以前」の作品である。嫌悪感さえ募った。
近親相姦、動物虐待などというテーマも軽く扱いすぎる。子どもが刃物を弄ぶような。こういうテーマは慎重に、慎重に。おもちゃじゃないんだから。
しかしまあ、いわゆる「文壇政治」の犠牲になったのではないか。文藝春秋主催の文学賞に「文學界」から1作もノミネートされないのはまずい、という判断で。そうだったら、水原くん、かわいそうだね。
次作に期待するしかないが、かなりの努力が強いられるだろう。
→★
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