最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 三国一の昼飯野郎※33 | トップページ | 三国一の昼食野郎※34 »

三国一の読書野郎※58

「ひとりのバカ」の持つ破壊力

 日本の考古学会に大きな傷跡を残す旧石器遺跡の捏造事件。その経緯と反省を、「事件」の近くにいた著者が検証・回顧するのが「旧石器遺跡『捏造事件』」である。

旧石器遺跡捏造事件 Book 旧石器遺跡捏造事件

著者:岡村 道雄
販売元:山川出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

すごいもんだね。25年にわたる捏造が見逃され続けていたというのは。捏造犯を「ゴッドハンド」とおだてていたことも。

著者はゴッドハンド藤村と12年間もいっしょに発掘調査をし、事件発覚後は「共犯者」と指弾されたこともある元文化庁主任文化財調査官。その経験ゆえ、自省の念はふかいものがある。文章の端々から、その痛恨の思いは伝わってくる。

しかし、研究者的文章というか、遺跡をやっている人の文章はわかりにくいなあという印象もある。回りくどく、結論になかなか至らないのだ。

だからこそ、拙速な結論を避ける研究者ならではの思いもあるのだろうと憶測するが。拙速な結論、当然、当時はそのようには考えていなかったのだが、それこそが藤村の犯罪を見逃し、拡大したわけだから。

アリの一穴ではないが、がちっと見えているものほど案外にもろい。ひとりのバカが壊せるほどに、もろいのだ。

本書の最後で、著者は10年ぶりに藤村に会いに行く。「ごめんね、すまなかった」と何度も謝る藤村。彼はナタで右手の指を切断ししてしまったそうだ。しかし、著者が、捏造していた当時のことを聞いても「何にも覚えていない」そうだ。記憶を遮断しているのだろうか。

学問的蓄積を崩壊させた愚行の背景は、藤村の詳細な証言からしか明らかにならない。ということは、もう不可能ということか。

→☆☆☆

« 三国一の昼飯野郎※33 | トップページ | 三国一の昼食野郎※34 »

読書2011」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 三国一の読書野郎※58:

« 三国一の昼飯野郎※33 | トップページ | 三国一の昼食野郎※34 »

2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31