三国一の読書野郎※47
徳川御三家の暗闘
河合敦「徳川幕府対御三家・野望と陰謀の三百年」を読む。この著者は高校の日本史の教師らしいが、よく、テレビ番組「世界一受けたい授業」などに出演。「知られざる日本史」などを一般受けしやすいかたちで解説している。
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徳川幕府対御三家・野望と陰謀の三百年 (講談社プラスアルファ文庫) 著者:河合 敦 この人はあまりにわかりやすく説明しようとするあまり、著書でも記述が雑になってしまうところがあったようだが、この本は比較的真面目に書いているように思う。たぶん、原著が2000年という、テレビ的な人気がまだなかったころに書かれたからだと思われる。 要点は、徳川御三家は将軍家を輔弼する装置ではなく、すきあらば対立する組織体であり、その間の緊張感があったからこそ、幕府も300年、長持ちしたという史観である。それなりに、面白い。 水戸家の斉昭が尊王思想のあまり、寺院を迫害したという、「早すぎる廃仏毀釈」などがあったことは本書で初めて知った。 尾張と紀伊の暗闘などもまた、非常に面白いテーマである。 しかし、将軍を目指した吉宗が御庭番を使って、暗殺を繰り返したなどとする一種の陰謀史観も目立つが、資料的な裏付けはない。「あり得る」という蓋然性だけだ。そういう記述をしてしまうと、「歴史学者」とは認められなくなると思うが。 ⇒☆☆☆ |
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