最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 三国一の読書野郎※36 | トップページ | 三国一の読書野郎※38 »

三国一の読書野郎※37

頑張れ賢太。応援するぞ

 西村賢太の芥川賞受賞作「苦役列車」を読む。いやはや、すごい作家だよ、賢太。私は断固、支持するぞ。賢太の時代が来るよ、きっと。

苦役列車 Book 苦役列車

著者:西村 賢太
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

中学を卒業後、定職にも就かず、荒んだ暮らしを続ける北町貫太は19歳。小学生のころ、父親が破廉恥な性犯罪を犯し、生活が崩壊してしまった。誰一人、友人と呼べる男も女もいない、孤独な貫太だが、日傭い仕事の中で、ようやく専門学校生とうち解けたのだが。

私小説である。暗い私小説である。救いはどこにもない。しかし、ある意味突き抜けてしまっていて、明るいのである。車谷長吉よりは、はるかに、明るいのである。

もっとも、19歳の青春に、明るさなんか、どこにもあるはずがないんだ。賢太に限ったことではない。

それはそれとして、この小説が芥川賞を獲った意義は大きいのではないか。時代は、このような文学を求めている、ということなのだから。このような文学とは、私小説だ。小難しい文学理論をバックグラウンドにせず、ただ自らの体験を、恨み辛み、呪詛、妬み嫉みをたっぷり盛って、綴っていくこと。

併収「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」もイイ。こちらは40を超えた現在の心境を描いているのだが、ギックリ腰の描写が凄まじく痛そうで、こちらも辛くなってくるぞ。

→☆☆☆☆★

« 三国一の読書野郎※36 | トップページ | 三国一の読書野郎※38 »

読書2011」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 三国一の読書野郎※37:

« 三国一の読書野郎※36 | トップページ | 三国一の読書野郎※38 »

2022年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31