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三国一の読書野郎※40

ペーソスあふれる青春小説?

 奥田英朗の1年半ぶりの長編小説「純平、考え直せ」を読む。主人公は新宿・歌舞伎町に生きる21歳の若きチンピラ、坂本純平。対立する暴力団幹部の暗殺を命じられてから決行までの3日間を描く。

純平、考え直せ Book 純平、考え直せ

著者:奥田 英朗
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奥田英朗、相変わらずうまい。新宿という街の猥雑さを背景に、チンピラ純平の21歳の孤独をユーモアたっぷりに描いている。

そして、純平に絡む多様な人物を登場させながら、乱れることなく、物語をさばいていく。なかなか、できることではあるまい。

現在のネット社会をも剔出している。街で知り合った女の子に、鉄砲玉になることを告白してしまった純平。あっという間に、ネット掲示板に純平のスレッドが立ち、止めようとする者や煽る者たちが入り乱れて、大いに盛り上がってしまうのだ。

ヤクザの「仁義」がどれほどのものであるか。クールな視線も揺るぎがない。

青春はいつも愚かで、しかも前が見えない。だからひたむきに、前を目指す。一人前になろうと、もがく。しかし、待っているのはありきたりな人生だけだ。そのことを認めたくないから、また、あがく。

作中、元早稲田大学の教授だというじいさんが語る。「若いと大変だなあ。成功体験が乏しいから、待つことを知らない。今しか見えない。待った先に何があるかわからない。ああ、青春は面倒だ。もう一回やれと言われても、ぼくはいやだ」

確かに。青春は地獄だよな。自意識との、壮絶な闘争の季節だもの。

話が横道にそれた。純平の未来はどうなるのか? まあ、読んでみてください。続編が、出るのではないかとも思うのだが。

→☆☆☆

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