三国一の読書野郎⑩
地味なお巡りの地味なお話
新しい警察小説の書き手として注目される安東能明の「聖域捜査」を読む。異色なのは、捜査1課の刑事ではなく、地味な警察官を主役に据えているからだ。
この短編連作の主人公・結城は警視庁生活安全部の特別捜査隊の班長である。入庁以来、第1線の刑事を志望してきたが、実際には地域課、交通課を転々としてきた警部である。40歳になって初めて、「刑事」となった。
花形部署の刑事からは軽く扱われながらも、部下に支えられながら、果敢に事件に向かいあう結城。その愚直なまでに「正義」を追求する姿は、なかなかに感動的ではある。
警察小説は今後、どこに向かうのか。こういう「地味」な方向性もまた、ありなのだろう。シリーズ化を期待したい。
ところでこの作家、まだ若いとばかり思ってたら1956年生まれだって。私より年上じゃん。頑張んないとな~(←何を?)
⇒☆☆☆★
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