読む快楽2010※88
アメリカ女の一代記
ボストン・テラン「音もなく少女は」は静かな感動を残す長編だ。こういう物語が、静かに紡がれていく。そのことが、すごいと思う。
音もなく少女は (文春文庫) 著者:ボストン テラン |
ニューヨークのイタリア系貧困家庭に生まれたイヴは生まれつき、耳が聞こえない。暴君のような父親ロメインと信心深い母親クラリッサに育てられたイヴ。彼女の人生に、ドイツ移民で孤高な魂をもったフランがかかわることで、彼女の人生は全く異なる彩りを持つ。
アメリカ版の「女の一生」ともいえる骨太の長編である。ヒロインを襲うさまざまな不幸。しかし、彼女は負けない。言葉の真の意味で、負けないのだ。
もはやジャンル分けは意味がないと思う。これはミステリではないし、ミステリである。ただの、ひとつの物語である。
⇒☆☆☆★。しかしながら、のりきれない自分がいるのだが。
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