スクリーン2010⑦
滋味、しみじみ。生きることは素晴らしい
札幌市中央区狸小路5丁目「シアターキノ」にて、韓国映画「牛の鈴音」を観る。感動しました。
<解説=goo映画より>農家を営むチェ爺さんは79歳。爺さんと一緒に働いてきた耕作用の牛は40歳だ。牛の平均寿命は15年というのに。しかし最近はそれも限界で、獣医は「そろそろ寿命だ」と爺さんに告げる。チェ爺さんはお婆さんと二人暮らしだが、農作業を休む事はない。苦労は絶えず、お婆さんのグチも尽きない。「牛を売って隠居したら」と子供たちは言うが爺さんは答えない。爺さんは、このままの生活が一番なのだ。 韓国で2009年1月に公開されると、ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒット。本作の多くは老夫婦と老牛の農作業のシーンで、派手さは皆無。無口なお爺さん、そしてもちろん話せない老牛の代わりに、最初からずっとしゃべり続けるお婆さん。無口で自分の感情をうまく表現できないお爺さんは、お婆さんに反論する事が出来ない。それが実にユーモラスで、果てる事がないお婆さんの愚痴(お爺さんへの愛情があるからこそ)が本作の「明るさ」につながっている。お爺さんもこの先の人生は短い。今さら生活を変えるつもりはないのだ。四季が通り過ぎ、老牛にも最後の時が来る。お婆さんと共に、人生の重要な伴侶を失ったお爺さんの後姿が印象に残る。
<能書き>一幅の水墨画のような、静かな画面から、生きること、労働、生命への賛歌が伝わってくる秀作である。本当に、何の派手さもないドキュメンタリーなのだが、実に力強い。韓国映画、本当に元気がいいな~と感心させられる。87分という尺もよろしい。
⇒☆☆☆☆★
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