読む快楽2010①
この作者にしては食い足りない
絲山秋子「エスケイプ/アブセント」を読む。
![]() |
![]() |
エスケイプ/アブセント (新潮文庫) 著者:絲山 秋子 |
40歳になった左翼運動活動家の挫折を描いている小説なのだが、悲壮感ゼロ。そこが作者の狙ったところなのだろうが、正直、何を書きたいのだかよくわからない。
この作者のあふれ出る才能は注目されるところで、私も期待するところは大きいのだが、肩の力を抜きすぎたというか、もしくは、書いているうちに袋小路に入ってしまったというか、どうにも、抜け切れていない作品なのだ。2006年の作品だというのだが、新境地を切り開こうとしたのだろうか。
これまでの守備範囲、女性作家ゆえの女性的世界観の構築ができないから、この手の小説はつらい。才能が別の方向に向いてしまった感じがする。残念だが、食い足りない。
⇒☆☆☆(最高点は5つ星)。まだまだ、ですね。
« スクリーン2010① | トップページ | 読む快楽2010② »
「読書2010」カテゴリの記事
- 三国一の読書野郎※221(2011.09.12)
- 読む快楽2010※98(2010.12.24)
- 読む快楽2010※97(2010.12.20)
- 読む快楽2010※96(2010.12.18)
- 読む快楽2010※95(2010.12.16)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント