読む快楽2010③④
人気を呼ぶのもよくわかる
高田郁「八朔の雪」「花散らしの雨」を読む。
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八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫) 著者:高田 郁 |
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花散らしの雨 みをつくし料理帖 著者:高田 郁 |
主人公は18歳の少女・澪。神田のそば屋「つる家」の調理場で腕をふるうが、大坂生まれゆえ、その味はなかなか、江戸っ子には受けない。しかし、やさしい店の主人らの協力と鋭敏な味覚、そして根性で、評判を呼ぶ料理を次々と世に出すようになる。
20009年度の「最高に面白い本大賞」受賞。ともに文庫書き下ろしで、「八朔」は16万部、「花散らし」は昨年10月刊行ですでに10万部が出た。その人気の理由もわかるね。面白いもん。あとを引っ張る、面白さ。少女版江戸人情小噺「美味しんぼ」風の連続とでもいうか。
澪のひたむきさを始め、登場人物のキャラクターが実に立っている。著者はマンガの原作者も経験しているらしいが、そのへんの戦略もきちんとしているのかな。巻末には作品に登場する料理のレシピも付いている。
ここでいう「戦略」とは登場人物のキャラ立ち、明確な悪の存在、時折現れる謎の人物、失ったものを回復するという使命などなど、面白い物語に必要な要素が緻密に織り込まれているということだ。まあ、若干のあざとさを感じないわけでもないが、読後感のすっきりさは否定できない。
サブタイトルは「みをつくし料理帖」。確実に、長いシリーズとなるだろう。
⇒☆☆☆★。誰もが癒しを求めている時代は決して良い時代ではないぞ。
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