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読む快楽2010②

高齢化社会のすぐれた分析

 藤原智美「暴走老人!」を読む。

暴走老人! (文春文庫) Book 暴走老人! (文春文庫)

著者:藤原 智美
販売元:文藝春秋
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 キレやすい老人が増えているという社会現象を、「時間」「空間」「感情」の3方向から分析する。2年前の単行本刊行時にはかなり話題にもなった本だ。

 役所の窓口や、スーパーなどで延々とクレームを言い続ける老人たち。注意に激高し、極端な怒りを爆発させる老人たち。なぜ、彼らはそうなってしまったのか? 分析といっても、芥川賞作家の筆によるものだから、退屈な仕立てではなく、実に「読ませる」のだ。

 社会が変容した。一言でいえばそうなってしまう。その変容した社会についていけないのが暴走老人だ。時間的にも、空間(の共用)にも、そこで互いに交わされる感情のやりとりにも。彼らは一種の被害者である。こんな社会を、うまく泳いでいること自体が、ヘンなのではないか?

 読後、そんな気さえした。

⇒☆☆☆★。年寄り笑うな行く道だもの、とはいえ。

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