本を読む日々2009※54
今年一番。歴史本の収穫
歴史をどう教えるか。そんなことは、学校の先生に任せておけばよいと思った。じっさい、自分自身がどうでもできる問題でもないのだが、教えたくなるなあ。こういう、刺激的な本を読むと。加藤陽子「それでも、日本人は戦争を選んだ」だ。今年の書評欄でもかなり取り上げられていたが、確かに、収穫である。
それでも、日本人は「戦争」を選んだ 著者:加藤陽子 |
加藤陽子は東大教授。専攻は日本近代現代史。日露戦争以降、満州事変、日中戦争あたりがエリアである。
その教授が、神奈川県の栄光学園の生徒を相手に、日清戦争から太平洋戦争までの日本史を講義するのである。新進気鋭の学者と、打てば響くような反応がある高校生たち。本の中身以前に、そういう場面に立ち会いたかったという嫉妬でいっぱいだ。
実にスリリングな本である。一種、ミステリーを読むに等しい。
歴史とは何か? 「日本切腹、中国解釈論」とか、とにかく、非情な論理の中で流れていく時間の中では、日本の論理は通用するはずもなく、欧米のおもいの中に翻弄され、やがて、310万人の同胞の死を迎えることになる。
教育とは、こういう講義を受けることであるし、それは保障されなければならないよなあ。とにかく、すごい本である。びっくりした。加藤陽子、恐るべしだ。
この加藤教授の旦那が、駿台講師の野島博之さん。講談社現代新書から「謎解とき日本現代史」という1冊を出している。1998年10月ごろ、話を聞いた(もう10年以上前!)。「今の受験生って、ソ連って知りません。学生運動って、百姓一揆のイメージでとらえてますし」という言葉が印象に残る。今ではもう、どうなっているのだろうか?
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