本を読む日々2009※27
中世イングランドを彷徨する大作
ケン・フォレットという英国人作家は、映画にもなった第二次世界大戦中のスパイもの「針の目」など、一時期はけっこう読まれた。しかし、新潮文庫では絶版状態で、大長編の「大聖堂」も古書店などでしか見かけなくなっていた。
それがソフトバンク文庫が復刊した。3冊に及ぶ大長編だ。
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大聖堂 (上) (SB文庫) 著者:ケン・フォレット |
舞台は12世紀のイングランド。いつの日か、大聖堂を建築したいと夢見る石工のトム一家の流浪の旅から物語は始まる。孤児から修道院長になったフィリップや、内乱の果てに領地を奪われた没落貴族の姉弟、森で暮らす不思議な母子などなど、さまざまな登場人物が複雑な物語を組み立てていく。
善人と悪人がまさに織物のように物語を織り上げていく。実に通俗的であり、だからこその読みやすさがたまらない。イギリス作家は実に通俗的だ。ジェフリー・アーチャーとかね。しかし、12世紀のイングランドの話なんかを、東洋の国民に読ませてしまう筆力は認めなければならない。日本人作家で、平安末期のころ(保元・平治の乱)の話を書いてイギリス人に読ませることのできるやつがいるか?
⇒☆☆☆★
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