本を読む日々2009※24
渋沢一族の迫力、もしくはかつての日本人の大きさ
佐野眞一の「旅する巨人ー宮本常一と渋沢敬三」が面白かったので、その続編とでもいうべき「渋沢家三代」を読んでみる。これもまた、実に迫力に満ちた評伝である。
渋沢家三代 (文春新書) 著者:佐野 眞一 |
もう11年も前に出た本なのだが刊行当時、読むことを怠った。残念なことをした。
武州・血洗島の豪農の息子に生まれた渋沢栄一。倒幕運動に加わり、その後は最後の徳川将軍・慶喜に仕え、さらには慶喜の弟とフランスに留学。西洋社会を実見した結果、資本主義を日本に根付かせることの重大性を認識し、さまざまな事業にかかわり、実績を上げていく。しかし、その嫡男は遊蕩に溺れ、廃嫡の憂き目に。栄一の期待は孫の敬三に傾けられる。
バブル崩壊以前の、拝金主義ではなかった日本人の原像が渋沢家にはある。「金儲けはいけないことですか?」と叫んだ男には決して気づくことができないであろう、資本主義の精神があった。その清々しさと人間性の大きさには圧倒されるばかりだ。
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