本を読む日々2009⑨
ほとばしる才能。すごい作家だ
絲山秋子の芥川受賞作「沖で待つ」が文春文庫になったので購入して、読む。いいですね。実に才能あふれる作家です。
沖で待つ (文春文庫) 著者:絲山 秋子 |
表題作は仕事を通じた男女の「友情」がテーマ。くだらないお見合いをしたくだらない一日を描いた「勤労感謝の日」、石原慎太郎をモデルにしたと思しき童話風短編「みなみのしまのぶんたろう」の3本を収める。
この人は早稲田の政経を出た後に、住宅設備メーカーに勤務。10年以上、営業に従事したが、うつになってやめたとか。その社会人経験が、作品に微妙な影を落としているというか、その経験がなければ成立しない物語世界を作り出す。
特筆すべきはその文体である。女性特有の文体であり、男性作家はまず、模倣不可能な文体である。さらに、独特のセンスのある女性作家以外も、こういう文体は確立できない。
お勧めします。
⇒☆☆☆☆
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