本を読む日々2009③
歴史を語ること
今年のテーマとして、昭和史を考えてみた。あの戦争である。軍人、民間人310万人を殺した戦争である。あの戦争に至る経過、天皇制、数限りない「IF」。このテーマは豊穣である。
そこで今は半藤一利の著作を集中的に読むことにした。昭和5年(1930年)、東京・向島生まれ。そう、わが墨田川高校の先輩である。東大を出てから文芸春秋に入り、編集者を経て重役になり、退社後は執筆活動を続けているわけだから、恵まれた人生だよなあ。しかも、編集者時代はまだ、旧軍時代の将官が生きていたころだから、さまざまな人とインタビューをしている。うらやましい限りの人だ。
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昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989 著者:半藤 一利 |
はじめに通読したのはこの本です。たぶん、何かカルチャーセンター的な場所での語りを収録したものです。こういうことをやりたいな。歴史を語りたい。こどもたちに、語り伝えるのでもよいし、同世代と論議をするのでもよい。歴史を歴史として封じ込めないためにね。
語りだから読みやすい。しかも、俗に堕することもない。マッカーサーと天皇をめぐるぎりぎりの攻防や、憲法制定におけるGHQ内の混乱などは臨場感に満ち、素晴らしい。
最近、自分自身が昭和天皇をどのように評価したらよいのかわからなくなっている。唯物論者としては、天皇制を認める訳にはいかないのだが、昭和天皇の事績には全否定ではいられないのだ。その戦後においても。
⇒☆☆☆★
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