本を読む日々2009①
異文化との出会いについて
ヘルマン・シュルツ著、渡辺広佐訳「川の上で」を読了。1930年代の東アフリカ・タンザニア。熱病で妻を亡くしたドイツ人宣教師が、苦しむ娘を救うために、小舟で川に漕ぎ出す。河口にある大きな町にある病院にたどりつくまでの5日間の旅の中で、アフリカの原点ともいうべき様々な人々と出会い、何かが宣教師の心の中で変わっていく。
![]() |
![]() |
川の上で 著者:ヘルマン シュルツ |
著者は名前のとおり、ドイツの作家。実際に父親はアフリカで布教した宣教師だという。本書は徳間書店がシリーズ化している児童書「ブックス・フォー・ティーンエジャーズ」の1冊。私も、お仕事でおつきあいさせてもらっている琴似の本屋のおやじから紹介され、読んでみました。
アフリカ的なるものを「呪術」「魔術」「前近代的」として半ば軽蔑していた宣教師が、現地での現実を受け入れ、アフリカが抱える底の深い多様性・文化を受け入れていく。異文化との出会いを「傲慢なヨーロッパ人がだんだん、現地人を受けいれていく」といったパターン化した描き方でなく、より重層的に描出していると思う。
しかしまあ、小学生には無理か? この作品の含意がわかる小学6年生はかなり高度だぞ。でもまあ、わからないなりにも、読んでみることが大切かもしれないが。
⇒☆☆☆☆
※やはりメリハリをつけるため、採点してみましょう。基準は「☆:最低の愚作。読むだけ時間のムダ」「☆☆:愚作。お勧めできない」「☆☆☆:平均作。関心あれば」「☆☆☆☆:良書。できれば読んでもらいたい」「☆☆☆☆☆:最高! 読まなければ損をする」です。
« お年始2009① | トップページ | さて、働きましょう! »
「読書2009」カテゴリの記事
- 本を読む日々2009※12月まとめ(2009.12.31)
- 本を読む日々2009※56(2009.12.29)
- 本を読む日々2009※55(2009.12.27)
- 本を読む日々2009※番外編(2009.12.11)
- 本を読む日々2009※54(2009.12.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント