書評2008◎46
おそろしくねえって。
宮部みゆきの最新刊「おそろし 三島屋変調百物語事始」を通読したが、う~む、大して恐ろしくなかったぞ。宮部みゆき、本当に難しいところにいるような気がしてならないのだが。
![]() |
![]() |
おそろし 三島屋変調百物語事始 著者:宮部 みゆき |
川崎の宿屋の娘、17歳のおちかは、実家で起きた事件をきっかけに心を閉ざすようになり、江戸・神田で三島屋という袋物屋を営む叔父のもとに身を寄せることに。叔父は、おちかに店を訪ねてくるさまざまな人々から、不思議な話=百物語を聞くように言いつけられる。客たちは自らの体験したさまざまな怪異を語り、おちかは怪異を親身になって聞くことによって、次第に心を開くようにはなるのだが・・・。
ひとつの怪異が次の物語の伏線になっている、連作なのだが、どうにもとっ散らかった印象が強い。宮部はここ数年、歴史ものにおいては「究極の悪」を描きつくそうと試みているようだが、その試みはここでも失敗している。
宮部みゆき、50歳近くなり、確実にターニングポイントを迎えている。このままでは、50代に苦労するぞ。スランプというかたちで。
あとひとつの問題は文体だ。哀切さを出そうとして哀切に堕してはならないのだ、文章は。文章的な訓練が確実に欠如している。
などと、辛い採点をするのは宮部を評価しているがゆえなのだがねえ・・・。
« ガーデンパーティー2008⑦ | トップページ | 大昼食問題2008○66 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 三国一の読書野郎2017※番外編(2017.03.04)
- 三国一の読書野郎2017⑩(2017.01.22)
- 三国一の読書野郎2017⑨(2017.01.21)
- 三国一の読書野郎2017⑧(2017.01.15)
- 三国一の読書野郎2017⑦(2017.01.14)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント