書評2008◎26
痛快無比。一挙通読確実。
田中清玄という人をご存じだろうか。1906年、函館に生まれ、東大在学中に共産党に入党。書記長になって武装共産党を指揮するが、逮捕され入獄。転向したのち、戦後はフィクサーとして中東やインドネシアの石油がらみで暗躍したとされる。60年安保では全学連に資金供与。「右翼と左翼の結託」として話題を呼んだという。1993年没。
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田中清玄自伝 (ちくま文庫 た 56-1) 著者:田中 清玄,大須賀 瑞夫 |
この清玄が自ら語り下ろす自伝なのだから面白くないわけはない。元本は93年に刊行。インタビューは91年から2年間にかけて行われている。
清玄の記憶力にも驚かされるが、昭和史の裏水脈をたどっていくスリリングな展開が何より、面白い。自己正当化も、中にはあるだろう。しかし、それを割り引いても、痛快無比な自伝である。一挙に通読してしまった。
「国を思う」とはどういうことか。何かしらのヒントを与えてくれるのである。
と、いうことで☆☆☆☆。田中清玄は会津武士の末裔だが、生まれ育ったのは函館だ。函館も時々、大きなスケールの人物を輩出するものだ。
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