書評2008◎25
失速気味で残念だ。
桐野夏生の最新刊「東京島」を読了。面白くなるテーマではあるのに、途中で失速。そのまま、消化不良のままに終わってしまった。残念!
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東京島 著者:桐野 夏生 |
<あらすじ>舞台は太平洋の孤島。ここに流れ着いたのは、まず、世界クルーズの途中で難破した隆と清子の中年夫婦。その後、23人の日本人フリーターが漂着する。アルバイトに嫌気がさして、与那国島から脱出してきたという。
島は「トウキョウ」と呼ばれ、各地はコウキョだとかシブヤ、シンジュクと名付けられる。なんとか、救いの船が来ないものかと待つうちに、今度は蛇頭に密航費用が払えずに下船させられた中国人グループ11人もやってくる。
漂流者のうち、女は清子だけ。絶望的な島の暮らしの中で、誰もが少しずつ、狂い出す・・・。
ね、あらすじだけ読んだら、ものすごくキャッチーでしょ? おもしろくならないはずないテーマだよね。確かに、はじめはぐいぐい、読ませるんだよな。しかし、途中からだれてくる。もっと、ドロドロした愛憎が爆発するのだと思ったのだが、不発だった。
島内での日本人と中国人の対立や、フリーター連中のいい加減さ、どこかねじのずれた人間像など、盛り込みすぎなのかな。280pでは書ききれなかったのか。走り幅跳びで大ジャンプを狙ったものの、かなり手前で着地してしまったイメージです。
と、いうわけで☆☆★。この作家も、出るたびに買う作家なのだがな。もうひと踏ん張りしてほしいよな。
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