書評2008◎23
奥深い国。底知れぬ国。
やはり、ロシアに魅かれる。それはかつてロシア語を学んだときに思ったこと、ドストエフスキーの思想に触れたい、レーニン主義に触れたいと思ったときに感じたことと同じだ。
クリアではないからだ。混沌としているからだ。割り切れないからだ。
東京外語大の学長で、60万部を売った新訳カラマーゾフの訳者である亀山郁夫とラスプーチン佐藤優の対談集「ロシア 闇と魂の国家」が面白かった。
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ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623) 著者:亀山 郁夫,佐藤 優 |
ロシアをロシアたらしめるもの。それは「独裁」である。ドストエフスキーにおける「父殺し」のモチーフから、カラマーゾフの「大審問官」イメージを解読し、さらにソ連におけるスターリン独裁と民衆の幸福だった関係性を照射する。
ロシアの将来像について、2人とも、プーチンが院政を敷くという見方には同調しない。メドヴェージェフが必ず、プーチンを失墜させるための仕掛けをするとみていることは興味深かった。
結局、ロシアウォッチャーにはなれなかった自分ではあるが、まだまだ、ロシアには興味があるんだなあということを再認識させられた1冊だ。読後、思わず亀山訳「カラマーゾフ」の第1巻を購入してしまったよ。まだ、読み始めていないけど。
と、いうことで☆☆☆☆。なかなか話がかみ合うようで合わない二人のやり取りが面白い。アウフヘーベンだよ。
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