書評2008◎24
青春オフビートサスペンス
ジョー・R・ランズデール。なかなか「こういう作家だ」と定義しづらい人だなと思う。ミステリだけでなく、ホラーやSFまで手掛けているので、どうも器用貧乏の感もなきにしもあらずなのだが。
しかし、ハヤカワ文庫から出た「ロスト・エコー」は、私をなんとなくひきつけたのだ。「読んでみろよ、坊主。面白いぜ」と呼びかけているような・・・。
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ロスト・エコー (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 12-3) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 12-3) 著者:ジョー R.ランズデール |
<あらすじ>幼児のころの高熱で片耳が聞こえなくなってしまった主人公のハリー。ある日、聴力を回復するのだが、暴力・恐怖が音を媒介してみえるようになるという特殊能力を身につける。過去の犯罪場面を音を通して視覚化できるようになってしまったわけだが、幼馴染で、今は地元警察に勤める初恋相手の父親の死の秘密をさぐるうちに、窮地に陥ることになる。
読みやすさは抜群。476pを一気読みしてしまった。まあ、特殊能力がみそだから、ミステリともいえないのだが、人物造形に長けているのだ。たとえば、特殊能力ゆえ、社会生活に適合できず酒浸りになる主人公。主人公と知り合い、物語中部以降の重要人物となる武道家のタッド。どれも一筋縄ではいかない展開をさせながら、物語を進めていくのだ。深みには欠けるけれども、楽しめるという意味ではまさにエンタティンメント。どこかたわんだ感じが好きな人にはたまらない、ちょっと癖のある作品ともいえる。
と、いうことで☆☆☆★。海外ミステリも、たまにこういうのに出会うからやめられないんだよね。
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