たくろうとは何か③

夏の匂い。

　僕が聞き始めたころが夏だったわけでもないだろうが、拓郎って夏のイメージが強いんだよな。「暑中見舞い」の影響もあるのかもしれないけど。汗臭さ。夕立。サイダー（もちろん、三ツ矢）。トマト。とうもろこし。すべてが、拓郎のイメージにつながっていく。

　アルバム「伽草子」に「夕立ち」って曲がある。作詞は岡本おさみ。

　きみとこれから暮らそうって
　いま言おうとしている僕は
　どんな風に切り出そうか
まだ　ためらって、ためらっている

　日照りの街の喫茶店
きみは頬をへこませ
　クリームソーダをごくりごくり

　燃えるようにきみを抱きたいんだ
　そのあと涼しくならない
夏に夏に夏に夏に
　（後略）

　この歌なんか顕著だよな。夏臭さがさ。

伽草子 アーティスト：よしだたくろう 販売元：Sony Music Direct 発売日：2006/04/05 Amazon.co.jpで詳細を確認する

　このアルバムが出たころ、中学3年生だった。何になりたいのかまったくわからなかった。自意識と性欲だけが膨張し、自分でも抑えきれないほどだった。何を間違えたのか、新聞配達を1ヶ月だけやったことがある。毎日新聞だ。

　何で新聞配達をやったのか、今ではまったくわからない。小遣いがほしかったのか・・・。家の近くの工業高校に行くつもりだったのかな、あのころは。

　拓郎を語ると、重なってくるんだ。あのころがな。