書評2008⑳
冷静な時代認識とは。
日暮吉延「東京裁判」を読了。示唆に富む本であった。
東京裁判 (講談社現代新書 1924) 著者:日暮 吉延 |
冷静に事実としての東京裁判を読み解いていくと、そこに現れてくるのは「勝者の報復」でも「文明の裁判」でもない。冷徹な国際政治の結果としての裁判が現出するのだ。連合国内部での対立や、あえて日本国内においての裁判肯定論、さらに戦犯間の対立など、非常に興味深い。「日本無罪論」を唱えたとされるパール判事の特殊性なども、また。
左翼的、右翼的史観から自由に東京裁判を語ることは徹底的な資料分析からしかなしえないわけだ。国際法、英米法と対立する概念としての大陸法など、法の知識のない身にとっては読み進むに辛い部分もあるが、これは力作である。事実を事実として現出させることしか、歴史においては不可能な部分があるのだ。
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