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書評2008①

久しぶりの書き下ろしだが

 <80点>伊坂幸太郎3年ぶりの書き下ろしになる「ゴールデンスランバー」を通読。タイトルはご存知、ビートルズ「アビーロード」収録の曲名から。「黄金のまどろみ」とは何か?

ゴールデンスランバー Book ゴールデンスランバー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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 <あらすじ>仙台に凱旋パレードにやってきた現役首相が、ラジコンヘリによって爆死する事件が起きる。青柳はこの事件の主犯としての濡れ衣を着せられ、逃亡を余儀なくさせられる。旧友や元恋人を頼りながら、懸命の逃避行を続ける青柳。事件の背後には、巨大な陥穽が仕組まれているようだ。まるでケネディ暗殺事件の犯人とされる、リー・ハーヴェイ・オズワルドのような立場に追い込まれた青柳の反撃はいかに?

 <能書き>相変わらず、うまい作家だと思う。伏線の張り方の緻密さは、さすが伊坂節である。複数の視点から事件を追いながら、最終的にひとつのところへ物語を集約させていく構成は手馴れたものである。タイトルの使い方も効果的である。
 さらに、管理・監視社会に対する異議申し立てのようなものを、今回、伊坂は試みている。市内に点在するセキュリティポッドなるものである。半径何メートルだかの携帯電話の送信記録などを、当局が監視できるシステムである。このシステムをフルに活用して、巨大な冤罪が仕組まれていくのである。
 まあ、読後感もそこそこ、いいのだけれども、完全燃焼には少々、物足りないような気もした。読者層が伊坂に求めているのは10点満点だからな。ありきたりの作品では満足できないのだ。それだけの実力派だからこそ、ファンは期待のハードルを高く設定してしまうのだ。その意味では、この作品は80点の出来なのである。

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