本を読む85
マイクル・コナリーにはまる⑫
現在のところのボッシュ・シリーズ国内最新版。原著は2004年。国内版は06年8月。「天使と罪の街 上下」だ。ここにノン・シリーズ「わが心臓の痛み」「ザ・ポエット」と、ボッシュ・シリーズは完全に合流する。
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天使と罪の街(上) 著者:コナリー M. |
<あらすじ>「わが心臓の痛み」で活躍した元FBIプロファイラーのマッケイレブが死んだ・・・。未亡人からその不審死の真相を調査するように頼まれたボッシュ。一方で、ネヴァダ州の砂漠では10人近い殺人事件被害者と思われる死体が見つかる。「ザ・ポエット」が犯行を示唆。「ザ・ポエット」で捜査に携わり、現在は左遷中のFBI捜査官レイチェルが現地に向かう。ボッシュの調査の結果、二つの事件は絡み合い、一点へ収束していく。ザ・ポエットはどうなるか?
荒業で、3本の物語の流れをまとめてしまった感があります。もったいない、と思うのは私だけでしょうか? ポエットもマッケイレブもまだまだ使えるキャラなのに、コナリー太っ腹です。
でもその分というか、ストーリー展開に若干の粗さも感じないわけではありませんが。最後はB級活劇っぽくてちょっと興ざめです。
でも、またボッシュのターニングポイントが来ることを予測させています。1950年生まれという設定のボッシュ、最後のひと花をどこで咲かせるのでしょうか?
とまあ、ここまで、マイクル・コナリーの主な作品というか長編で読んでいないのはノン・シリーズの2作だけというほど、読み続けてきました。いいですね、一作家の集中的読書は。特に、このコナリーのような意図的にシリーズものでロングスパンの伏線を張っている作家などは、ある段階でまとまって読むと、全体像がようやく浮かび上がってくるような気がします。当然、作家は書き始めた段階でそこまでは考えなかったかもしれませんけどね。
「誰の生にだって意味がある。もしないなら、すべての人間の生には意味がない」といったことを言うのですよボッシュが。虚無の中に生きなければならないけれども、意味を見出さなければならない人間の孤独をよくあらわしていると思う。
☆80点⇔次が読みたくなる作家はたいしたものだと思うのだよ。その意味ではたいしたものなんだよ、マイクル・コナリー
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