本を読む82
マイクル・コナリーにはまる⑨
前作のノン・シリーズ「ザ・ポエット」の衝撃に戸惑う中、同様のノン・シリーズ「わが心臓の痛み 上下」を読み進む。原著は1997年刊行、国内刊行は2002年。
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わが心臓の痛み〈上〉 著者:マイクル コナリー |
<あらすじ>こちらの主人公はFBIのプロファイラー、テリー・マッケイレブ。殺人捜査に追われる激務の果て心臓を患った彼は早期引退を余儀なくされた。そして、心臓移植を受けた彼の元に、1人の若い女性が訪れて、言う。「あなたの心臓は、私の妹のものでした」と。妹はコンビニ強盗に遭遇し、射殺されたという。妹はなぜ、殺されなければならなかった。その理由を求める姉に、マッケイレブは捜査に乗り出すことを誓う。されど、すでに「元」捜査官でしかないマッケイレブ。手術後2ヶ月しか経っていない病弱な肉体で突き進むも、行く手を多くの難関が立ちふさがる。
いいすね、こちらも。なんとも設定が意表をつきますが、そこからぐいぐいと、読者を引っ張っていく。何より、術後間もない中年男が、何の肩書きもなく、事件の背後に潜むものを探っていくスリリングな展開がたまりません。
この作品もまた、何となく、後味の悪さが残るのです。まあ、ミステリはすべてが必ずしも、ストンと明るく落ちるものではありませんけどね。「究極の復讐」について、考えさせられるのです。
未見ですがこの作品、クリント・イーストウッド監督・主演で映画化されているとか。タイトルは「ブラッド・ワーク」。
☆79点⇔動機的なものに若干の疑問が残る分の減点です
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