本を読む83
マイクル・コナリーにはまる⑩
そしてまた、ボッシュ・シリーズに戻るのです。「夜より暗き闇 上下」です。ボッシュ・シリーズの第7作。原著は2001年刊行。国内では03年7月刊行。
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夜より暗き闇〈上〉 著者:マイクル コナリー |
<あらすじ>「わが心臓の痛み」に登場した元FBIプロファイラーのマッケイレブが旧知の女性刑事から捜査協力を求められることでドラマは幕開けする。盛り場で、ヒモのように暮らしてきた最底辺の男が殺された事件の捜査だ。現場に残された痕跡などから、被害者はかってからハリウッド署の刑事、ハリー・ボッシュと因縁があったことが判明。さらにマッケイレブが調べていくうちに、ボッシュがこの殺人に深く関与している疑いが濃くなる。一方、ボッシュは全米を騒がせている有名映画プロデューサーによる女優殺人事件の検察側の重要証人として、法廷に立っていた。
さてさて、ボッシュは殺ったのか?
ね? 凄いと思いませんか。ノン・シリーズの主人公をすっとメーン・シリーズのサブキャラに持ってくる。「わが心臓の痛み」以降のマッケイレブの暮らしも当然、詳述されているわけで、ここに2つのシリーズが合体するわけです。いや、「ザ・ポエット」の主人公である新聞記者も脇役のように登場しますから、3本の流れが合体するわけですね。しかも、過去の事件が深い意味を持つのですがそれは「ラスト・コヨーテ」(シリーズ第4作)に出てくる事件です。こういうシリーズ化、作家としても書いていて楽しいだろうな。
現役刑事が殺人事件の容疑者としての疑惑を濃くする。しかも追い詰める人間が元FBI。一方、どちらに転ぶかわからない裁判を闘う現役刑事・ボッシュ。この両輪で物語はフル回転する。
この作品もネタバレになってしまうので書けない究極の結末が待っているのです。なんともほろ苦い、結末です。
☆81点⇔作家はここまで、総合的な視点をもって書けたら、本当に楽しい職業だと思う。それこそハリウッドの有力なプロデューサーのように
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